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信長は努力と根性で戦った!!

大間違いの織田信長⑥

信長が土下座する理由

 その理由は簡単。信長は本質的に商人だからというものに尽きます。農民でも武士でもなく、もっと言えば、投資家でもなく、投機家でもなく、経営者なのです。自分の中に事業計画があって、確実に成果が出るものを実施していきます。移動距離が大変といったような、根性さえ出せば乗り切れる困難なら、努力で乗り切れるからやります。

 同じように、どんなに挑発されても、自分の機嫌さえ我慢できれば良いわけなので、土下座でも何でもしてお引き取り願う。世間でイメージされている信長とまったく違って、現実の信長は非常に我慢強いのです。

 しかもプライドが高いキャラクターに見せているのも計算で、土下座を高く売りつけます。最初から腰巾着みたいなやつに土下座されてもまったく有難みがないですし、倉山満に土下座されたって嬉しくないかもしれませんが(笑)、一見土下座なんかしないようなプライドの高い人が土下座すると効果があるのです。

 話を戻して、謙信や信玄が生涯ほぼ無敗に近い化物だとしたら、これまた誰が数えたか知りませんが信長は生涯で30敗ぐらいしています。その一方で130勝しているそうです。何を以って勝ち負けを決めるか、どこからどこまでを一戦と数えるかも人それぞれなのですが、なんとなくニュアンスは伝わります。

 要するに信長は、信玄や謙信のような戦国時代に軍神と恐れられたような大名はおろか、はっきり言えば戦闘力は平均以下です。織田軍は強い部隊と弱い部隊の玉石混交が激しいのですが、弱いときは泣きたくなる弱さです。

 強い部隊だって、上杉、武田、徳川、島津、毛利、北条の誰よりも弱い。しかし、信長の魅力は、弱卒を率いて勝つことです。

 では、この差をどう埋めるかというと、努力と根性です。30回負けたって、130回勝てば百の貯金ができます(しつこいですが、数字にはあまりこだわらないように)。そして根性を出して努力している内に、工夫が生まれてくる。そして信長は学び続けているのです。

『大間違いの織田信長』(著・倉山満)より構成〉

明日は『桶狭間はマグレだったのか?』

大間違いの織田信長⑦信長が生きた戦国時代です。

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倉山 満

くらやま みつる

憲政史研究家

1973年、香川県生まれ。憲政史研究家。

1996年、中央大学文学部史学科国史学専攻卒業後、同大学院博士前期課程を修了。

在学中より国士舘大学日本政教研究所非常勤研究員を務め、2015年まで日本国憲法を教える。2012年、希望日本研究所所長を務める。

著書に、『誰が殺した? 日本国憲法!』(講談社)『検証 財務省の近現代史 政治との闘い150年を読む』(光文社)『日本人だけが知らない「本当の世界史」』(PHP研究所)『嘘だらけの日米近現代史』などをはじめとする「嘘だらけシリーズ」『保守の心得』『帝国憲法の真実』(いずれも扶桑社)『反日プロパガンダの近現代史』(アスペクト)『常識から疑え! 山川日本史〈近現代史編〉』(上・下いずれもヒカルランド)『逆にしたらよくわかる教育勅語 -ほんとうは危険思想なんかじゃなかった』(ハート出版)『お役所仕事の大東亜戦争』(三才ブックス)『倉山満が読み解く 太平記の時代―最強の日本人論・逞しい室町の人々』(青林堂)『大間違いの太平洋戦争』『真・戦争論 世界大戦と危険な半島』(いずれも小社刊)など多数。

現在、ブログ「倉山満の砦」やコンテンツ配信サービス「倉山塾」(https://kurayama.cd-pf.net/)や「チャンネルくらら」(https://www.youtube.com/channel/UCDrXxofz1CIOo9vqwHqfIyg)などで積極的に言論活動を行っている。

 

 

 

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